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光のもとでU+

迷路の出口

Side 藤宮雅 26話


 翠葉さんの演奏後もしばらくは雑談タイムが続き、私は自分の飲み物を持って翠葉さんのもとへ行くことにした。
 部屋を横断して翠葉さんの向かいに腰を下ろそうとすると、
「雅さん、ここクッションもラグもないのでっ――」
「それを言うなら、翠葉さんも床の上に座っているじゃない」
「そうなんですけど……」
 そんなやり取りをしていると、
「ソファーに座ってる人間は、そのうえクッションまで必要なんだ?」
 司さんの冷ややかな一言に、ソファーに座っていた秋斗さんと唯くんが大慌てで立ち上がり、大きなクッションをふたつ、私たちに提供してくれた。
 ついでに翠葉さんの飲み物も手渡しで回ってきて、寝室前のスペースに、会話をする準備が整う。
「あのね、今日の午前中は納涼床へ行く前に桃華さんとメイクをして過ごしたの」
「え? メイク……?」
「そう、メイク。お化粧。桃華さん、メイクに興味があったみたいで」
 翠葉さんは少し考えて、
「でも、桃華さん、メイクしてなかったですよね?」
「そうなの。メイクをして過ごしたのは二時間ないくらいだったかしら?」
「どうして……?」
「メイクをしたあとに納涼床へ行ったのだけど、そこで桃華さんの恋愛相談を受けたって話をしたでしょう?」
「はい……」
「桃華さん、ボロボロ泣き出しちゃってね、メイクが取れちゃったの。だから、そのあと陽だまり荘へ戻ってバスタイムを楽しんだわ」
 そんな話をすれば、翠葉さんは自分もメイクを習いたかったと零すし、一緒にバスタイムを楽しみたかったと口にする。それはとても残念そうに。
 今回のこれは「仲間外れ」には該当しない。それでも、「時間を共に過ごせなかった寂しさ」は生じるらしく、それならそういう時間を未来に作ればいいのではないか、と思いつく。つまり、未来の予定――「約束」だ。
 でもさすがに、ひとつのバスタブに三人で入るのはちょっと無理があるわよね……。
 確か、ホテルや旅館には大浴場がある場所もあると聞くけれど、そういうところなら大丈夫かしら? ファミリータイプの部屋に露天風呂が付いているタイプもあるというし……。
「次、私が帰国するのがいつになるのかはわからないのだけど、そのときに都合が合えば、三人で旅行へ行きましょうか? そしたらメイクも教えてあげられるし、三人で温泉に入ることだってできるわ」
「わぁっ! 楽しみです!」
 翠葉さんの満面の笑みに満足していると、部屋の空気が不自然に動いた。
 これは人が動いたとかそういうことではなく、外から風が入ったときに起きる現象だ。
 咄嗟に窓の方へ視線を向けるとレースカーテンがふわりと波打ち、蒼樹さんの姿が露になる。
「翠葉、ホットタオル持ってきてくれる?」
「はいっ」
 翠葉さんは慌ててはいたけれど、しっかりと順序を踏んで立ち上がり、急いで洗面所へ向かった。
 タオルを用意した翠葉さんは躊躇いながらウッドデッキへ出て、蒼樹さんも翠葉さんに続いて外へ出る。と、
「あっちはあっちでなんとかなったぽいかな」
 秋斗さんの言葉に唯くんが、
「ま、自分の彼女くらい宥めらんなくちゃだめっしょ」
 割と容赦の欠片もない返答だ。
 ただこの短時間で、蒼樹さんが何をどう話し、あそこまで思い詰めていた桃華さんを説き伏せたのかには興味がある。
 ――でも、昨日知り合ったばかりの私に、そこまで知る権利はないわね……。
 そこでふと思う。
 あぁ、さっきの翠葉さんはこんな気持ちだったのかもしれない。
 今のふたりに私を「仲間外れ」にしている意識はない。でも、ひとり別行動をとっている私は、蚊帳の外――「疎外感」を覚えるのだ。
 知り合ったばかりで互いのことをほとんど知らない関係――それでも、「寂しさ」は感じるのね……。
「クラスで孤立するのとは、なんだか違う感情だわ……」
 そこにどんな違いがあるのか――
 ……友達か友達じゃないか? ううん、それでは漠然としすぎているわ。だとしたら――私が好感を持っているか持っていないか……?
 すべての人に好かれたいとは思わない。でも、自分が好感を持つ人には好かれたいと思う。
「だから、『寂しさ』を感じるのね……」
 そんな結論にたどり着くと同時、
「司、翠葉のパーカ取ってもらえる?」
 今この部屋にいないはずの人の声がして、顔を上げる。と、司さんが翠葉さんのパーカを蒼樹さんへ手渡すところだった。そのまま外へ出るのかと思いきや、蒼樹さんは私のもとへやってきた。
「雅さん、申し訳ないんですが、これ、翠葉に持っていってもらえますか?」
 差し出されたから条件反射で受け取ってしまったけれど――
「それ、私も外のお話しに混ざっていいっていうことですか?」
「はい。桃華がまだ部屋に入れないって言うんで、よかったら話を聞いてやってください」
 それは桃華さんも了承済みということ?
 疑問には思ったけれど確認はせず、私は心のままに外へ飛び出した。

 外へ出て、テーブルセットが置かれている場所に視線を向けると、テーブルを間に向かい合わせに座るふたりがこちらを見ていた。
 足早に近づき、翠葉さんにパーカを渡しながら桃華さんの顔を覗きこむ。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です……ただ、この顔にこの声ですからね。ちょっと立て直すのに時間が必要で……」
「本当、声ガラガラね」
 昨日今日と一緒に過ごしてわかったのだけど、こんな顔を見せたくない相手は司さんひとりなのではないだろうか。
 確認はしないけど、当たっている気がして、なんだかおかしくなってきて笑ってしまう。
 笑いを堪えられずに席に着くと、翠葉さんはじっと桃華さんを見つめていた。それはまるで、桃華さんが話しだすのを待っているかのように。
 もしかしたら、まだ本題に入ってはいないのかもしれない。
 私も同じように桃華さんを見つめると、
「さっきの曲、なんていう曲?」
 想像の斜め上をいく質問に、私も翠葉さんも目を白黒とさせていた。翠葉さんはびっくりし過ぎて少し身を引いたくらいだ。
 翠葉さんがそのまま固まっているものだから、
「リュミエール。司さんが曲名をつけたそうよ」
 代わりに私が返答すると、
「え? っていうことは、翠葉のオリジナルっ!?」
 翠葉さんは口を開け、酸素を取り入れてから「そうなの」と答えた。
「で、また藤宮司なのね……」
 桃華さんは今にも悪態をつきそうな表情である。
「今度は私に一番に聴かせて、私に名前を付けさせなさいよっ!」
 桃華さんはよほど不服だったのか、その後も聞き取れないような声でブツブツと文句を口にしていた。
 どうしてここまで司さんに突っかかるのか、いつか訊ねてみたい。今訊けないのは、出逢ったばかりだから……? だとしたら、どのくらい親しくなったら訊けるのだろう……。
 人付き合いって悩みが尽きないものなのね……。
 そんなことを考えていると、
「すっごくすてきな曲だった。リュミエール……光、ね。なんだかとっても翠葉らしい曲。未来が明るくなるような、そんな曲に思えたわ」
 桃華さんの感想を、満面の笑みで喜ぶものだと思っていた。けれども翠葉さんは、ひとつふたつと静かに涙を零す。
 あぁ……。「喜ぶ」という感情ひとつとってみても、翠葉さんはこんなにも表現が豊かなのね。
 そんなふうに思う私の傍らで、桃華さんはものすごく慌てていた。
「ちょっとっ! なんで翠葉が泣くのよっ」
 今にも立ち上がりそうな勢いで問いただす。と、
「えぇと……そういうことを考えて作った曲だったから、何も説明していないのにそれが伝わって嬉しかったというか、なんというか……」
 その説明に符号する。
「そう……あれは司さんとの未来を願った曲だったのね?」
 だから、秋斗さんがいるあの場ですべてを語りはしなかったのだ。
 翠葉さんは涙を拭いながら、コクリと頷く。
「願わくば、桃華さんと蒼兄の未来も光で満ち溢れていますように」
 それは「祈り」や「願い」に類する言葉。
 決して自分へ向けられた言葉ではないのに、とても印象的で、耳の残る声だった。
 もし、この世に「言霊」が存在するというのなら、それはこういう言葉を――「想い」を乗せた言葉のことを言うのだろう。現に桃華さんも意表をつかれたような表情で、翠葉さんをじっと見つめている。
 数秒して我に返ると恥ずかしそうに俯き、小さな声で話しだした。
「さっきね、プロポーズをされたというか、プロポーズの予約をされたというか……」
 言葉尻を濁しているのは、はっきりとした言葉をもらったわけではないから……?
 桃華さんをじっと見つめていると、桃華さんは何かに気付いたように顔を上げ、翠葉さんの顔を見ては渋い表情になる。
 不思議に思って翠葉さんを見ると、口を少し開けた状態で目を最大限に見開いていた。
「翠葉がそんな顔をする資格はないと思うの……。初詣でプロポーズされて、春休み中に婚約まで済ませた人間に、そんな顔をされる覚えはないわ」
 なるほど納得……。
「それは一理あるわね」
 翠葉さんは私たちの顔を交互に見ては困った顔をしていたけれど――まあ、そうね。実の兄が親友にプロポーズしたなんて話を聞いたら、多かれ少なかれ、驚きはするだろう。
 未だオロオロしている翠葉さんが見ていられなくなったのか、桃華さんは話を本題へ戻した。
「本人たちの気持ちが一番大切なのは言うまでもなくて、でも、のちにどこにも禍根を残すことなく、きちんと私を迎えたいから、って。結局蒼樹さんに押し切られちゃったわ」
 それはつまり――
「今は何がどうあっても桃華さんと関係を持つつもりはない、ということ?」
 私が訊ねると、桃華さんは私に視線を向け、「はい」と肯定した。
「私に魅力がないとか、私とそういう関係になりたくないとかそういうことではなくて、背徳感があるとかそういうことでもなくて……。一般的な避妊って、妊娠する可能性がゼロではないでしょう? だから、もし子どもができたとして、私の人生を狂わせるようなことは避けたいし、すべての人に祝福してもらえる状態で私や子どもを迎えたいから、って。もちろん結婚するまでしないとは言わないし、そこまで我慢できるつもりもない。でもせめて、私が高校を卒業するまでは、って言われました。その代わり、高校を卒業したら大学へ上がる前に婚約しよう、って。そういう方向で私の親とも話をする、って」
 そんなに細部に渡って話してもらえるとは思わず、または話してくれた内容に驚き、思わず口元を手で覆ってしまう。
 すると、左隣に座る翠葉さんも同じ動作をしていて、私たちは口元を隠したまま、目をパチクリとさせた。
 再び桃華さんに視線を戻すと、
「もっとちゃんとしたプロポーズをしたかったんだけど、って言われちゃったわ。なんか、結果的に私が急かしてプロポーズさせた感じ?」
 桃華さんは首を傾げ、どこか納得がいかない様子だ。
 でも、知ってはいたけど――
「蒼樹さんって本当にできた殿方ね? ここまで筋の通った方、そうそういないわ」
 心からの感想を述べると、
「蒼樹さんができた人なのはわかっていたんですけど、こうも妹と思想が似ているとは思いもしませんでした」
 桃華さんの視線は翠葉さんを向いていて、つられて翠葉さんを見ると、翠葉さんは視線を逸らし、顔を赤くしてもじもじとしていた。
 翠葉さんと司さんがどこまでの関係なのかは知らないけれど、蒼樹さんと思想が似ているということは、身体の関係を持つまでに時間を要した、ということよね……? 桃華さんのこの言い方だと、時間を要した理由も同じ、ということかしら。
 じっと翠葉さんを見ていると、翠葉さんは桃華さんに視線を戻し、
「桃華さん、ありがとう。蒼兄の考えを尊重してくれて、本当にありがとう」
 すごく恥ずかしそうに、けれど、ものすごく嬉しそうに口にした。
「もう、この兄妹は……」
 桃華さんはまたしても悪態をつきそうな声音を発する。
「第一、私の高校卒業を待たなくても、うちの親は間違いなく蒼樹さんとの婚約を認めるわっ。それをどうして高校卒業までだなんて――蒼樹さんの考えはわかるのだけど、わかるのだけどもっっっ」
 居ずまいが崩れることはない。けれど、声の発し方がすでに乱れている。そんな桃華さんに動じることなく質問するのが翠葉さんだ。
 ふたりとも性格も性質もまったく違うけれど、いいコンビね……。自分と違いすぎる人と付き合うのは疲れることだと思っていたけれど、このふたりを見ている分にはそんな感じはしない。
 翠葉さんは「ひとつ質問してもいい?」と訊ね、桃華さんはぶっきらぼうに「何、翠葉」と答える。
 イラついている様子が見て取れるのだけど、そんな桃華さんに臆することなく翠葉さんは訊ね返す。
「どうして蒼兄との婚約が認められるってわかるの? 確か桃華さんのご両親は、蒼兄との交際を良くは思っていなかったでしょう?」
 私には聞こえた。桃華さんがものすごく小さく、けれどしっかりと舌打ちした音が……。
 桃華さんはしばし黙り、ものすごくどす黒いオーラを纏った声を発し始める。
「これを言うのも非常に不本意なのだけど――うちの親、家柄や格にこだわるじゃない? そこで、お付き合いをするなら簾条家に見合う家柄の人間でないと、って蒼樹さんに言ったの」
 家柄――なるほどね。
 なんとなくだけど、この先の話が読めてしまったわ。一方、訊ねた翠葉さんはまったくわかっていない様子だ。
 わかっていないがゆえに、こんなことを言い出す。
「でも、自分で言うのもなんだけど、御園生の家は桃華さんのおうちとはどうやっても釣り合わないでしょう……? 親の職業が建築関係とは言っても自営業の域を出ないし……」
 さらには悩みこんでしまうから救えない……。本当にこの子は――
「翠葉さん、ひとつ失念していてよ?」
 にこりと笑みを添えて声をかけると、「え……?」と小首を傾げてこちらを向いた。
 本当にこういう子なのよねぇ……。
 それが嬉しいような悲しいような複雑な心境で、説明すべく口を開く。
「『御園生』にネームバリューがなくても、『城井』なら? 『城井アンティーク』といえば、国内屈指のアンティーク家具屋。ウィステリアホテルの家具を大々的に担っている会社よ? そこの孫息子となれば御曹司と言っても過言じゃないわ」
 翠葉さんはまたしても驚いた顔で口をポカンと開けている。
 本当に、ただの少しもそんなことを考えたことがない、っていう顔に唸りたくなる。
 どんなふうに育てたらこんな子に育つのか、いつか翠葉さんのご両親にお話をうかがいたいくらいだわ。
 その私の気持ちを代弁するように、桃華さんが追撃を仕掛ける。
「翠葉は自覚なさすぎ。蒼樹さんはもう少し自分のこと、よくわかっていたわよ? 両親にその話を持ち出されたとき、とっても不本意そうではあったけれど、『城井』の名前を出しましたからね」
 翠葉さんはガタッと音を立て、
「そうだったのっ!?」
 今度は驚きに身を乗り出した。
「そうよ。それと、高校大学での成績、在学中にとった資格の数々、それらを並べて家柄だけじゃないことをうちの親に提示した上で、もうひとつ有効的な手札を見せたわ」
「有効的な手札……?」
 翠葉さんって本当にこの手の話には疎いのよねぇ……。司さんと結婚するならば、この手の話には多少免疫を付けておかなければならないというのに。
 この手の話は誰が教育を担当するべきなのかしら……。
 私? 私なの? それとも秋斗さんとか司さんとか、いえ――いっそのこと真白様とか――
 ……だめだわ。真白様はこの手の話題が苦手ゆえ、パーティーにも必要最低限しかご出席されないような方だし……。
 項垂れたい気持ちを抑え、
「翠葉さんったら、本当に世間知らずねぇ……。桃華さんのご両親みたいな方たちにとって有効な手札なんて、考えなくてもわかるじゃない」
 こんなふうにいやみたらしい言い方をしても、翠葉さんには通用しない。きょとんとした顔で、「え?」と首を傾げて見せる。
 これが演技じゃないからすごい……。同時に、翠葉さんの周りにいる人たちの苦労を痛く察する。
「藤宮とのつながりよ。自分が秋斗先生と親しいことと、碧さんと零樹さんが次期会長である静様と旧知の仲ということ。親は嘘がないか興信所を使って調べたわ。そして裏が取れたら交際を認めてくれた。そこへきて翠葉と藤宮司の婚約。私が蒼樹さんと結婚すれば藤宮との縁ができる。それが末席であろうとあの人たちにとっては問題ないの。我ながら呆れる両親よ」
 翠葉さんはただただ驚いていて、
「桃華さん、今まで一言もそんなこと言わなかったから、全然わからなかった……」
「こんな親の醜態を誰が晒したいとっ?」
 まあ、誰だっていやよね……。私だって実母の話も、今の両親の話も、できることなら誰にもしたくない。
 そんなことを考える私の傍らで、桃華さんは釘を刺すことも忘れはしなかった。
「だから、私たちが婚約するまで――もしくは私と蒼樹さんが結婚するまでは、絶対に藤宮司と破談にならないでねっ!?」
 なんだかものすごく桃華さんらしい、釘の刺し方だ。思わずクスクスと笑い、唖然としている翠葉さんを見ては、秋斗さんに執着していたころを思い出す。
「こんな子だから私はいじめちゃったのよねぇ……。城井アンティークの孫娘っていったら、それなりのお家柄をお持ちなのに、本人はまったく無意識無自覚。だから、秋斗さんと釣り合わないって断言口調で威嚇して、暗示にかけたかったのよ。それだけじゃ弱いと思ったから、体調のコンプレックス持ち出して追い詰めたのだけど……」
 うっかり口を滑らせたとはこのことかもしれない。
「ちょっと、雅さん? それなんの話です?」
 桃華さんはにこやかだけれど、顔のあちこちが不自然に引きつっている。
 美人が凄むと怖いというのはこのことか……。
 少なくとも、桃華さんの前では話しちゃいけない内容だったわ……。
 私がどれだけ身を引こうとも、桃華さんの追求が止む気配はない。翠葉さんが慌てて間に入ってくれたけれど、桃華さんは内容を聞くまで口を利かないと言い出す始末。
 仕方なく過去のあれこれを話すと、
「もうっ! 翠葉はどうしてそういうこと話してくれないのっ!? 私って何っ!?」
 桃華さんの怒りが私に向けられることはなく、問い詰められているのは翠葉さんのほうだった。
 あぁ、こういうことを「理不尽」と言うのね……。
 翠葉さんはうろたえながら、「え? 雅さん助けてくれないんですか?」的な視線を向けてくるけれど、私は「ごめんなさいね」と口だけ動かし、クスクスと笑って少しテーブルから身を離すことにした。


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Update:2021/02/06

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